第1章 まだまだ蕾だったあの頃、私たちは出会いました。
「ちがう」
つい、口に出てしまった。騒がしくなっている室内でも私の声はよく通り、その騒がしかったのは静まっていた。
「な、何が違うのかな?」
男の子を叱っていたその先生は、少し焦っているように私に目線を動かしていた。正直言えば、その時の先生の顔は引きつっていた。
「そのこが、かってにないたんや。このこはわるくないで」
その言葉に泣くのを我慢していた男の子も驚いたのか目を真ん丸に開けていた。
「そのおんなのこ、ずっとおとこのこのことみててん。ずっとみられていたらだれだっていやなる。そうやない?」
「で、でも。女の子を泣かしてはいけないでしょ?」
「そのおとこのこ、なにもいってへん。なにみてるんてゆうただけや。それやのに、かってにないてもたんそのこやん。おとこのこがせめられるんはおかしい」
それこそ、子どもらしくない言葉。それに、タジタジとしている大人という変なやり取り。