第2章 僕と多重人格少女
「だよなー!もう俺焦っちまったぜ」
望月は深い溜息を付きながら下を向く。
僕はその光景を見て笑っていた。
楽しい。
友達が出来ると、本当にこんなにも楽しい。
僕は改めて実感した。
それからは体育館に移動し、校長先生の長いタメになる話を聞き流し、始業式を終わらせた。
また教室に戻り自分の席に座ると、周りはもう休み時間のようになってあり、皆席に座らずわいわい友達と話していた。
僕はその光景を見て一瞬。
ほんとに一瞬、焦りが出た。
友達が出来たと喜んでいたのはいいが、ひとりじゃ足りない。
ひとりだけしか友達が居ないのも、ぼっちと変わりないではないか!
僕は焦り焦って立ち上がり、望月を探した。
望月はすぐ見つけれ、僕は急ぎ足で望月の所へと歩いた。
「も、望月!」
「お、どうした?」
「あ、あのっ」
僕はこのとき、ようやく望月の友達が目の前に居る事がわかった。
言葉をつまらせ、僕は口を開けたまま言葉が出ない状態になっていた。
それに気付いた望月は笑い出し、望月の友達の方へと顔をやり、僕の頭をぽんぽんと叩いた。
「こいつコミュ症でさ〜、結構おもしろい奴だから仲良くやってくれよ」
「え?」
僕は望月を見て口を開けた。
望月の友達も顔を見合わせ、僕を見てうん、と頷いた。
「ぼく竹山 翔。よろしくね」
「オレは野々村 直斗だ。よろしく」
僕は唖然としながらも、頭を下げた。
友達が、こんなに簡単に出来てしまった。
しかも、望月の力で…
僕は望月を見ると、望月はピースをして笑った。
このとき僕は、感謝しきれない程、望月に感謝した。