第2章 僕と多重人格少女
僕は深い溜息をつき、肩を落した。
すると、前の席の男子が配られたプリントを配りながら僕の顔を覗きこんだ。
「お〜い、プリント〜」
「あっ…ありがとう」
プリントを受け取り名前を書く。
一番後ろの席の為、配ることはない
楽なのは楽なんだが…
友達づくりの事を考えると頭を抱えたくなる。
前の席の男子は書き終えた名前を見ると、「お前ってって言うのな!」と顔を上げ笑顔で言った。
「あ、うん…」
僕はその返事しか出来なかった。
友達どーのーこーの言っていた割には、コミュ症だったのだ。
「俺、望月 敬太!よろしくな」
望月という男子は、自分の自己紹介をしながら僕の目の前に手を差し出す。
どうやら握手だろう。
「こちらこそ、望月君」
僕は望月の手をとり、握手をした。
すると、いきなり望月は「ぶはっ」と笑い出し、僕を見た。
「゛君゛なんていらねーよー、俺達もう友達だろ?」
「え…」
友達 という言葉に僕は一瞬思考が止まった。
望月は「え、違ったのかよ」と笑顔を引きつらせ、不安そうにしてるのが見てわかる。
そうか…
僕、友達…できたのか
僕は嬉しさのあまりに、今日初めての笑顔をみせた。
「ううん、僕ら、もう友達だよ!」