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白黒世界

第2章 僕と多重人格少女


一日目の学校が終え、僕はひとりで帰っていた。

望月と帰ろうと思っていたのだが、竹山と野々村同様、僕と帰る方向が逆だったのだ。

まぁ別に帰る時くらいひとりでいい。

学校生活が充実していれば、僕はそれでいいのだ。

僕は下に向けた顔をぱっと上げると、前の方に隣の席のあの黒髪の女子が歩いているのを目撃した。

僕の胸は激しくはじけ、一瞬体が止まった。

あの人だ…。

目の前に居る黒髪の子はひとりでゆっくりと歩いていて、それだけでも綺麗だと思ってしまう。

これはよく言う一目惚れというやつなのだろう。

しかし、僕があの人に話しかけれる筈もなく。

ただ後ろから見てるだけだった。

すると、黒髪のひとに一つ異変が見つかった。

一瞬、ぴたっと止まったのが、遠くからでもわかった。

だけど、また歩き出したのだが、少し歩き方がガサツになった。

さっきまでとは違う歩き方な気がするのだが、遠いからそう思ってしまうのかもしれない。

僕は気のせいだ。と思い黒髪の後ろ姿をずっと見ていた。

下手すれば僕はただの変態のストーカーだろう。

しかし、僕はそんなことを気にもせず、黒髪のあの人を見続けた。

すると、また黒髪の子は立ち止まり、次は何やらキョロキョロと周りを見回し始めた。

そして、壁に目をつけ、大きく腕を振り上げた。

僕はまさか!と目を見開ける。

そのまさかが、本当に起こってしまった。

黒髪の子は、壁を思いっきりぐーで殴りつけた。

何も音は聞こえなかったが、痛そうに見える。

黒髪の子は殴った方の手をふり、また歩きだした。

なんだったのだろうか、さっきのは…

女の子が、あんな固い石で出来た壁に思い切り殴るとは…。

まさか、怒らせるとすごく怖いひと…?

見た目に騙されるなってやつですか?

僕は黒髪の子を見て唖然とした顔で立ち尽くした。
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