第1章 主人公sid
私は、初めてシカマルに抱かれた日のことが頭に思い浮かんだ。酔っていてほとんど何も覚えてはいないが、優しく抱きしめてくれたシカマルの暖かさは覚えている。慣れない煙草を亡き恩師の形見として吸うようになったシカマルの匂いを覚えている。それだけで十分なのだ。彼の気まぐれであろうと、一時の夢現であろうと、私は幸せだったのだ。
「私はね、我愛羅。幸せだったよ、彼に出会えて。彼は旧家のお坊ちゃまで、木の葉では大切な血を引いている人。そして、その血を守っていかなければならないの。純血の木の葉の者ではない私は、一般人である私は彼には釣り合わない。それは、我愛羅にもいえることだけどね」
「俺は、ずっと化け物だった。それでも、傍にいてくれたのはお前だけだったろう。砂の国は血にこだわらん。お前には、砂の血が入っている。それだけで十分だ。この化け物のそばにいるのは、人に弱みを見せることの苦手な幼馴染がちょうどいい」
そういい、私の入れたお茶を飲んでくれる。二人で過ごすこの空気は、本当に心地が良かった。さすが幼馴染。かの猪鹿蝶トリオのように阿吽の呼吸で話が進む。本当に楽だ。
「ありがとう・・・」
「何のことだ。火影にはすぐに文を送る。お前はこのまま留まれ」
「・・・。うん、本当にありがとう」
そういい、涙を見られないよう下を向いた私の頭を我愛羅は静かに撫でていた。