第5章 ここに、居てもいいかな?
「ん…ふあぁ…あれ…?」
「あ、起きた?」
くあ、と欠伸をしてまだ開ききってない瞼を擦りながら辺りを見回しているのはさっき私が無理矢理お昼寝に誘ったエレインちゃん。実物が凄く可愛くて死んだ。
「あ、あれ?この上着…」
「それ?私のマント。ごめんね、汚かった?」
急いでブンブンと首を振るエレインちゃん。くそぅ、可愛いわ。
「そ…それより!…それより?…貴方は何でここにきたの!?泉なら諦めて。」
「いや、別に泉はどうでもいいんだけど。」
「どっ…どうでも?」
睨むように私を見つめるエレインちゃん。心でも読んでいるのかな。私はエレインちゃんにこう思った。
(話で聞けば、神木は聖女がたった1人で護ってるって聞くじゃん。)
「え…?」
(1人が寂しいのは良く知ってるし。話し相手がいないんじゃ暇も潰せなくない?)
「…。」
(ちょっとお喋りしに来たのです♪)
そう語りかけるとエレインちゃんはボロボロと大粒の涙を流した。
「えっ、ちょっ…え?そんなに嫌だった?」
「!…ぅうん、違うの…だって、話し相手なんて…そんな人、1人だっていなくて…は、初めてだったから…!」
「そっか…私が泣かせた訳じゃないんだね?」
こくりと頷く。良かった。私が泣かしてたら頂上から身投げ物だわ。
ぐすぐすと泣くエレインちゃんをなだめて、ちょっとお話した。エレインちゃんの事、妖精のお姫様な事、兄が居て、ずっと前に出ていって、それからたった1人で泉を護ってる事。
「…ふぅん。じゃあずっと1人だったんだ。寂しくなかったの?」
「うーん…寂しくは…無かったかな。使命みたいなものだし、大切な事だから。」
「へぇ。偉いねえ。」
偉い偉い。と頭を撫でると赤くなってうつ向いた。鼻血出そう。
なでなでしていると急に振り向いて、
「わ、私の事は話したから…!次は…えっと、名前…?」
「ん?あ、初歩的なことを忘れてたね…私はルシウス・ワンナイト。」
「ルシウス…。ルシウスの事を教えて?」
「えぇっ、私ぃ…?」
「私だけなんて公平じゃないもの!」
正直、私の話題が出てくるのが一番怖かった。自分には魔神族の血が入ってます、とか言われて信じる人が何人居るのかな。
「…私は、ルシウスのこと、知りたい。初めて、だったから。」
「んなセクハラチックな…ちょっと上行こうか。」