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次元の果てまで。【七つの大罪】

第5章 ここに、居てもいいかな?



「はっ…はぁ…こりゃ、キツいかも…いや、キツい。」

昼。バッチリ昼。太陽は自分の真上にあり、必死に幹を登っていく私をギラギラと照り付ける。

「何で、こんな高いところに…まだまだ体力が足りないかなぁ…。」

ひとまずは4分の3位登った。疲れた。
1回休もう、マジ疲れた。私は幹に寄り掛かって汗ばんだ服を摘まんで扇ぐ。そのまま眠気に従い瞼を閉じた。人間の3大欲求ってあったな。食欲、色欲、睡眠欲だっけ?多分私には睡眠欲しかないね。
前に気配を感じながら、面倒臭くてそのまま寝た。

(面倒臭い…。)

「…この人馬鹿なのかしら。」

私はこの人間の心の声を聞いて溜め息が出た。
私の気配を察知して武器を構える、なんてことはざらだけれど、そのまま寝るのは見たことが無かった。

「ここまで来たって事は…泉を狙っているのよね?捕まえておいたほうがいいのかしら…いや、ここまで馬鹿なら別にいいな…。」

うーん。悩むなぁ。私が悩んでいると、意識しなかった筈なのに寝ている人間から心の声が聞こえた。あまりにもはっきりしているから起きたかと思っちゃった。

(…バン。ごめんね。)

一言。たったの一言だけど、強い気持ちが伝わってきた。とてつもない、悲しみ。自己嫌悪。そのさきに有るのは…

「一緒に、居たかった…?」

この人間は自分を凄く責めてる。と、同時に強い願望を持ってる。きっと、一緒に居たいのに理由があって離れていったんだ。自分から。

「…話を聞くのは、起きてからでいいかな。」

だって、私には。誰かの為に自分から離れて、こんなにも悔いてる人が到底悪い人には見えないから。

「…寒くないのかな?何かかけてあげたほうが良いのかな。」
「…いや。」
「へ?」

泉に引き返そうとすると腕を掴まれてぐい、と引かれた。

「きゃ!?」
「おっと。」

地面に倒れると思いきや、後ろから抱き締められる形になった。後ろから抱き締めているのは、寝ていた筈の人。

「え、ちょっと!?」
「毛布もありがたいんだけど、今は人肌が恋しいんだよね。悪いんだけど、一緒に寝て貰っていいかな?」

私が抗議するまえにその人は寝てしまった。
必死に腕と格闘していると疲れて眠くなってきてしまった。
誰かの体温を感じるなんて久しぶりで。
ちょっと嬉しい、なんて思いながら眠気に勝てなくて寝てしまった。



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