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次元の果てまで。【七つの大罪】

第4章 朱を眺めて考える


「ま、ルシウスはあんま気にすんな♪…それより、食料調達だろ?まかせろ♪」
「あ、ちょっ…盗んで来ないでよ!?」

颯爽と去る後ろ姿に声をかけると、ヒラヒラと手を振った。アイツ、ぜってえ盗ってくる。
とりあえず、動く気にもならないので、横になりながら色々考える事にした。
まず、元の世界に帰れる希望が全くもって無い。ありがちなトリップだったら、夢で見るとか、自由に行き来できるとか、そんな事が出来るけど、どうやら私の場合はそんな親切設定では無いらしい。無念。

第2にこの世界に慣れてきちゃってる事。感覚的に。西京極壱夜だった頃、あの時は血はおろか、命をかけて何かをするなんて、かけはなれた世界だなんて思っていた。考えすらしなかった。
でも、この世界に来てから。血なんて当たり前で、時には死体すら見る。そんなものが私の中で正当化されてきている。人間の馴れとは恐ろしい。

第3に、バンの傷。最近、バンに生傷が絶えない。本人は何でもない風を装ってはいるものの、時々顔をしかめる。痛いんだろう。
確かに、人の物を盗む事は多少のリスクがあり、時には傷付く事もある。でも、バンのあの傷は異常だ。何か隠しているのは間違いない。本人もあまり話したがらないし、聞くことは出来ないけど…

「ぬぬ…気になるなあ…」
「何がだ?」
「う?いやね…ってうわっ!?おかえり!?」
「ただいま…驚きながら挨拶って器用な奴だな♪」

いつの間にかバンが帰ってきていた。ふと空を見ると…赤い?

「え…え?もう夕方?私、なにもしてないよ?」
「さっきまで何してたんだよ。」
「…考え事。」
「考えすぎだ。」

呆れたように此方に視線を投げながらてきぱきと食事の準備をするバン。

「で。何か情報あった?」
「盗ってきただけだがこの近くに妖精が護ってる神木があるってチラッと聞いたぜ♪」
「至極どうでもいい。」
「だよな♪」

しげしげとバンの体を眺める。さっきより傷が増えた感じもしない。
私は渡された食事をもぐもくと食べなが考える。

(…まぁ、何かあれば私がバンを守ってあげればいいし。)

そのあとは、バンがついでに持ってきた(こっちの方が聞こえが良い)お酒を飲みながら夜空の星を眺めた。もうすぐ、時間も遅くなる。

私の記憶は、そこでぷっつりと途切れた。
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