第4章 朱を眺めて考える
「ルシウス~♪朝だぜ、起きろ♪」
「ぐはぁっ!?」
一緒に旅に出てからもう、暫く経つ。
私の朝はバンからの愛のあるドロップキックから始まる。
「せ、せめてダブルラリアットくらいにして欲しかった…!」
「俺はお前のセーフゾーンがいまいちわかんねぇわ。」
とまあ、かなり仲良くなり。ピュアボーイだったバン君はいつの間にかバンになり。背も同じくらいになった。え、私の歳?聞くんじゃない、馬鹿。
「つうかよ、早くしねぇと朝飯冷めるぜ♪」
「はいはい、頂きます。…相変わらず料理上手いよね君は。」
「そりゃどーも♪」
バンの料理の上手さは下働き時代の賜物とみた!いや、冗談抜きで旨いんだな、これが。
「で、今日はどうすんだよ?」
「ふぉふにふぃめふぇふぁひ…」
「口に入れたまま物喋んな♪」
「むぐっ…げほっ…っとねぇ、特にこれといった情報は無いからね…情報収集と今日の食料調達かな…」
今、私達は私の出生について調べている。と、言うのも。どうやら私は死なないらしい。何故かって…
「うっ…げ…ぐ、ごほっ」
「おいおい、大丈夫かよ♪」
「ぐは、かはっ…ちょ、タオル取ってタオ…ごばっ」
口から次々と血が溢れ出る。私は慣れたし、バンも見慣れて焦らなくなったけど、心配して背中擦ってくれるあたり、やっぱ優しい子だ…。
「げほっげほっ…あ、朝っぱらから吐血とかついてない…」
「こんだけ吐血して生きてるお前が不思議でならねぇわ、俺♪」
「やだな、褒めても何も出ないよ?」
「褒めてねぇし見返りなんて端から期待してねえよ♪」
と。私は吐血クラスの何か物凄い病気にかかっているらしく、吐血も茶飯事なんだけど。いやぁ、吐いても吐いても死なない。この前なんかかなり高い山の上から下まで一気に落ちたけど、掠り傷と捻挫で済んだ。一瞬、ギャグ漫画効果かな、とか思ったんだけど、多分違う。要するに。
私、きっとほぼ不死身。
「ホントにさ、私って何だろう…」
「人間。」
「そんなわかりきった答えを決め顔で言わんで宜しい。」
謎は深まるばかり。そして、最近思うこと。
「…ん?バン、君…また傷出来てる?」
「お?ああ、コレ?昔からあったぜ?」
「…そお?何、熊にでも噛まれた?」
絶対嘘。昨日まで無かった。こんなに生々しい傷が昔つけられてる訳がない。
「…何か怪しいなー。」