ペリドットの向こう側【アルカナファミリア・デビト】
第1章 自棄酒
うちは結構狭い。
海沿いのアパルトメントの4階。最上階。
天気のいい日は海が見渡せる。景色はいいが1R。
キッチンやなんかもなく部屋にはシングルベッドと窓際に小さなテーブルに椅子がふたつ。
それ以外には本棚くらいしかない。
「ニコラ、お前のほうがヒデェから先いって来いよ」
急いでシャワーを浴びて部屋に戻るとデビトは窓際の椅子に座って外を眺めていた。
真っ暗闇の中、遠くに灯台の光だけが見える。
何考えてるのかは聞かずともフェルのことだろう。
あれだけ遊び人を演じてはいるものの、デビトの中にはフェルしか居ないことはよく知っていた。
私も多分似たようなものだ。
ルカへの思いは伝える事が出来ないので遊びでそれを誤魔化してきた。
だから、私とデビトもそういった関係だと思って居る人が多いのだが、実はそんな事なかった。
二人会っても飲んでるか、喋ってるか、どっちか。
キスをしたことさえない。
何となくフィーリングがあった。
それは想い人同士が結ばれた事でなんとなく、そういうことで気があっていたのだと思えた。
ほんと、ただの友達。ただの友達だ。