第1章 私の脳内回路はショート中
ゲロ野郎は、さっきから全く抵抗しないハルヒに、気分を良くしたのか、左手で顔を撫でまわし始めた。
「ゲーレゲレゲレッ。吸い付くような肌だ。ウイップッ。」
ゾワッと全身に鳥肌が立った。
汚い。臭い。嫌い。不快。嫌悪。憎しみ。
すべての負の感情が、ハルヒの心の中にドッと流れ込む。まるで自分の心が、真っ黒なクレヨンで乱暴に塗りつぶされたようだ。ハルヒの心は、闇にのまれた。
理性や常識、力量差。そんなもの、今のハルヒは、考えなかった。思いつきもしなかった。
ハルヒは、感情のままに、自分の腕の太さの、3倍はあるであろう、ゲロ野郎の左腕を左手で思いっきり、突き飛ばす。なぜかゲロ野郎の巨体は、予想よりかなり、よろめき、ふらついた。
ハルヒは、しめた、とばかりに驚いた顔でこちらを見ているゲロ野郎の股間を、思いっきり蹴りあげる。
「ゲグゥオッツ」
ゲロ野郎がうめき声を出したが、かなりゲロ臭い。
靴をはいていないので、もろに伝わってくる、ゲロ野郎の股間の感触に、ハルヒは、かなり顔を顰めたが、今さら、そんなことは、気にしていられなかった。
取り巻きたちは、ひ弱でおとなしいと思っていた女が、いきなり船長を攻撃しだしたことに、かなり驚いたが、もっと驚いたのは、女の1.5倍は背丈のある巨体の船長が、今現在、股間を手で押さえながら、尻餅をつき、失神しかけていることである。
取り巻きたちは、一瞬、固まってしまった。
その隙をつき、ハルヒは、取り巻きの一人を思いっきり両手で突き飛ばし、街の中へと逃げ込んだ。