第1章 私の脳内回路はショート中
ハルヒは、今、砂浜を歩いている。あたりには誰もいないのだが、なぜか少し前から、たくさんの人の気配を遠くに感じることができる。人に会える、と思えば、自然と歩みも速くなる。
「ッツ!?」
右の足裏に痛みを感じて、足を素早くどけると、小さなガラス片があった。だが、ハルヒは、もっと重大なことに気が付いた。
「私、靴履いてなかった・・・・。」
なんとも、おまぬけである。自分は、こんなことにも気が付かない程、気が動転しているのかと自嘲した。
ハルヒは、今日、いつもより、かなり早く起きた。なぜかと言えば、高校の文化祭当日だからである。早く学校へ行って、準備やリハーサルの手伝いをしなければならない。寝ぼけながらも、顔を洗い、制服を着、胸ポケットに携帯をしまい、朝食を食べるため、階段へと向かった。
そう、そのとき、ハルヒは、足を滑らせ、床に頭を強打する、はずだった。
どうやら、自分は異世界へ来てしまったらしい。
ハルヒは、ずっと自分の頭の中を巡っていた、ひとつの可能性に、やっと納得できた気がした。
ぐるるぅー・・きゅうくるるぅ~・・・
ハルヒのお腹が盛大に鳴った。思わず、ハルヒは、笑ってしまった。そして、心の底から笑い出した。
生きている。
こんなおかしな状況なのに、自分は生きている。
なんて、自分は、人間は、強いんだ。
ハルヒは、再び、しかし今度は慎重に、そして、しっかりと歩き出した。