第2章 さあ、仕事を始めよう。
彼女はどうなったのか。
そればかりが俺の頭のなかをぐるぐるとまわり、仕事に全く集中できなかった。ふと、昨日、酒場で聞いた話を思い出した。酒場のマスターが言うには、この町の外れには、新世界では、知る人ぞ知る、腕の確かな情報屋がいるらしかった。そこへ行こう、と俺は足を向かわせた。
その店は、本当に、街の外れにあった。店のすぐ後ろには、鬱蒼としたジャングルが広がっている。それにしても、扉がデカい。どんな大男たちが出入りしているというのだろうか。俺は、力を籠め扉を押し、店の中に入った。
彼女がいた。
WHITE HATに茶色のサングラスをかけた少女、だが確かに彼女と同じ空気を纏った少女が、カウンターの奥に座っていた。
俺は、驚くと同時にホントに安堵した。彼女は無事だったのだ。よかった、よかったと頬が緩む。しかし、だ。目的は果たせたが、すぐ回れ後ろして帰るのもなんだった。本なんて読む柄じゃないのだが、俺はぶらぶらと店のなかを歩きながら、適当に本を選び、彼女のところへ持っていった。
だから、彼女に「お料理、よくなさるんですか」と聞かれたとき、本当に困った。ほとんど題名なんて見てなかった。ただ、薄っぺらかったから、それを選んだのだ。
しかし、彼女が話しかけてくれるなんて思わなかった。とても可愛らしい、心地いい声だった。
「君は、この店で働いてどのくらいになるの?」
ふと、そんな質問が口から出た。かなり前からいる、と彼女は答えたが、嘘だな、と俺は直感した。商売柄、こういうことはよくわかる。どういう経緯か分からないが、この店の店主に助けてもらったのだろう。彼女も怯えている様子はない。俺は安心した。そう、と彼女に短く答え、満足しながら俺は、店を出た。