第2章 さあ、仕事を始めよう。
その男は、ハルヒを見ると、かなり驚いた顔をしたが、すぐに穏やかな微笑になり、店内を見て回った。
常連だろうか?ハルヒは、少し疑問に思いながらも、大して気にもせずカウンターに座っていた。
「これで足りるかな。」
男がカウンターに持ってきた本は、”超簡単!!男の料理”だった。この男は、この島では珍しく、本を読む奴らしい。
「はい、丁度です。お料理、よくなさるんですか?」
ハルヒは、本を手渡しながら、何気に聞いてみると、
「あ、いえ、最近、ちょっと興味があって」
なんとも困ったような笑顔をして男は、そう答えた。
「君は、この店で働いてどのくらいになるの?」
ハルヒは、やっぱり常連だったのかと思いながら、グレースさんに言われた通り、かなり前からいると曖昧に答えた。ツッコまれたときの言い訳も用意してあったのだが、男は、そう、と答え、なにやら満足げに帰って行った。不思議な客だった。