第1章 私の脳内回路はショート中
カランッ
金属音が虚しく響く。
ハルヒは、死ねなかった。
両親の笑顔、友達の声、楽しかった思い出、悲しくて泣いたこと、つらかったこと、悔しかったこと、うれしかったことが、今までのハルヒ人生のすべてが、走馬灯のように頭を駆け巡る。
死んでは、ダメだ。
ハルヒは、直感的に思った。例え、今までの人生が夢だったとしても、ハルヒと関わった人達が、ハルヒの心を形作ってくれたことだけは、確かなのである。そして、彼らと会う手段を現在、ハルヒが持っていなくても、彼らは、ハルヒの心のなかに生きている。
彼らを、殺してはいけない。
生きよう。
生きて、彼らとまた会おう。
ハルヒは、固く決意した。
とにかくこんなゴミ溜めから抜け出そう、と店が立ち並ぶ通りへと出た。
”BOOK”
そう書かれた看板がすぐ目に入った。今、ハルヒを追っているゲロ野郎たちが、到底寄り付きそうにない種類の店だと思った。
あそこなら、ゲロ野郎たちに見つからずに、隠れられるかもしれない。
ハルヒは、大きな木の扉がよく目立つ本屋へと足を走らせた。