第1章 私の脳内回路はショート中
ハルヒは、遠くに、しかしハッキリ聞こえる男たちの声を聞きながら、懸命に街の大通りを走っていた。昼時だからか、あちこちからいい匂いがする。お腹が元気に鳴るが、今はそんなことに構っていられなかった。
街の人混みに紛れれば、すぐに撒けるだろうと思っていたのが甘かった。思った以上に人が多く、なかなか奥へ進めない。
そして、約50秒前まで確かに失神しかけていたはずのゲロ野郎は、聞こえてくる声を聞く限り、ピンピンしている。
ゲロ野郎の声が、耳に入ったときは、かなり驚いた。
復活、はやすぎでしょっ!!!!
だが、ハルヒは、妙に納得できた。
ここは、ワンピースの世界である。ワンピースのキャラクターは、読んでいるこっちがツッコミたくなる程、タフである。きっとゲロ野郎も例外ではないのだ。
ドンッ!!
「おい、女、どこ見てやがる、気ぃつけろや。」
後ろを気にしながら走っていたら、これまた凶悪面の男にぶつかってしまった。
「あ、あの、すいません。・・・っっっ追われるんです!どいてっ!!!」
「あ゛ん? おいっ!!!待ちやがれ!!」
しまった、どうしよう、とハルヒは、かなり焦ったが、男たちの雄叫びが聞こえてきたため、なりふり構っていられなくなった。
咄嗟に走りだすが、男は、バカにされたと思ったのか、ハルヒの腕をつかもうとしてきた。
ハルヒは、ありったけの力で、これを払いのけ、逃げた。すぐ後ろから酷い罵声が聞こえてくるが、気にせず走って、走って、走る。
なんてこの世界の男たちは、心が貧相なんだ。
ハルヒは、息切れで苦しくなってきた胸と横っ腹に顔を顰めながら、路地裏に身を隠す。
だが、ゲロ野郎たちも、そんなにバカじゃない。
「おい、女が見えなくなっちまったぞ!!!」
「今度は、隠れんぼかぁ~?」
「ッシシシシ。お前ら、路地裏だ。路地裏に逃げたぞ。」
ハルヒは、舌打ちしそうになったが、また走り出した。