第1章 SMALL SOLDIER
紙を持つ手が震える。
16歳以上の、男女、抽選。
「マ、マ…」
母も、父も、ユウキも、私も…当てはまる。
「イチゴ、大丈夫、大丈夫よ、私達は当たらないわ、大丈夫」
母が抱きしめてくれる。
頭を撫で、震える私を宥めてくれる。
「今日は至る所が休みになっている。正午を待とう。」
父が諭す。
父も怖いはずだ。
だけど今は、私の頭にはユウキのことがいっぱいだった。
今や父よりも母よりも愛する恋人。
もし当たったらどうしよう、20人の中に入ってしまったら…
(神様、ユウキだけは、ユウキだけは…)
泣きながら祈る。
ユウキも学校が休みらしく、先程からメールを続けている。
怖がる私を文面からでも心配しているのがわかる。
大丈夫、私のいる都道府県は人口550万人。
その中の20人のうちに、入るわけ無い…
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とうとう、運命の正午がやってきた。
テレビの前で、ユウキと電話を繋ぎながら発表をまっている。
テレビが正午を告げた。
すると、国会議事堂に総理大臣が立っている光景が映し出された。
「皆さん、今日この抽選で、代表者が決まります。」
「代表者20名は、顔、名前、年齢、住所等を映し、確実な本人特定をします。」
「選ばれし20名は、この発表の後、迎に上がります。」
丁寧に言ってるけど、絶対選ばれたくない。
殺し合いなんて、いやだ。
「イチゴ、落ち着いてね、大丈夫だから。」
ユウキの声に落ち着きを取り戻す。
「う、う…ユウキ…ユウキ…」
泣きながらテレビに向かう。
「まずはαから20名、選びます。」
α、私のところ…
一番人口が、多いからかな…
どうか、選ばれませんように!!!!!!
「男性から行きましょうか」
男性…
ユウキ、選ばれないで、お願い、お願いお願い…