第3章 CRUEL
出来る。
例え550万人が死んでも、私が殺した訳じゃない。
550万人は死んでも、ユウキと両親は生き残る。
私に命を賭けてくれた、6人の命を救うことが出来る。
そして何よりも、ユウキを救える。
ユウキだけは、絶対に殺させない。
その為に私は生き残るんだ。
「残り時間、30秒」
私は矢を弓に添えた。
30秒経ったら、私は人間を辞める。
生きるために殺す獣になる。
それはただ、愛する人の為に。
「残り時間、ゼロ秒。競技場に移ります」
ガラスのエレベーターが上に上がる。
光が差してくる。
鼓動が速くなる。
弓を構えながら、競技場を迎えた。