第4章 貴方の手で
男「隼哉さん この娘いくらですかね?へへっ 俺 買わせていただきますよ」
私を指差して
男の人は笑った。
まだ身体が震えている
隼哉さんと男の人にバレないように
腕やなどを摩り震えを抑えようとしている
隼哉「買えまへん」
男「…え?」
「…?」
男の人は口を開けたまま
一瞬 時間が止まったように思えた。
男「は、はははっ 隼哉さん どう言う意味ですかね?」
隼哉「言葉の通りどす この子は売り物やない」
さっきまで笑っていた男の人は笑うのを止め
隼哉さんを睨む横顔がみえた。
男「隼哉…てめぇ あんまり調子に乗ってっと 痛い目みさすぞっ‼ごらぁっ‼」
男の人は叫び豹変し隼哉さんに殴りかかる
「隼哉さんっ‼ 」
殴られそうになる隼哉さんに止めに行こうと
叫んだ。
隼哉「迷惑だ 帰れ」
男「いっ いだだだだっ‼」
「………え?」
殴りかかる男の人の拳を軽々と掴み
掴んだ拳を男の人の背中へと回す
まるで警察官のように男の人を捕まえ
隼哉さんは笑顔で
「少し待ってておくれやす」
キラキラなスマイルで襖を閉めて
男の人の叫ぶ声が次第に聞こえなくなった。
「…………」
呆然と突っ立っている私
30秒もしないうちに襖が開いて
隼哉さんが入って来た。
隼哉「大丈夫どすか」
「…え?あ、はい」
我に返る私は頷く
さっき起きた出来事を思い出し
気がついた時でも身体はまだ震えていた。
隼哉「何で助けを呼ばなかったんや?」
「え?」
自分自身が泣いていたのだと知ったのは
隼哉さんが私の目元を手で拭いてくれたから
隼哉「なんや騒がしいと思って来てみれば…良かったわ 間に合って…」
「すみません 大丈夫です」
私より20㎝は高い隼哉さん
目元を拭いてくれる隼哉さんの手を掴み応える
「片付けの最中にすみません」
隼哉「………」
隼哉さんから離れて片付けをまた始める。
「もう大丈夫です‼ ご迷惑かけてすみませんでした」
大丈夫
笑顔 笑顔
大丈夫