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京都のSHIKI物語

第3章 出逢いと働き



梅「はんにお化粧もしてたんどす」



隼哉「お化粧…?」



そう言いながら隼哉さんは襖を閉め
私に視線を向けた。


気にせず…いや、むしろ目が合いたくなかったため
ずっと鏡の方を向いていると

梅さんが小声で
「こっち向いて」と言ったので

渋々 ゆっくりと隼哉さんの方へ向いて
目が合った。



隼哉「………」



少し驚き何も言わない隼哉さん

ほら…やっぱり似合わないんだ。


少し自分の中で期待と言うモノがあったけれど
崖から落ちたように
砕ける私の心

ショックが大きいです。



梅「どうどすか?隼哉はん 少し薄化粧やけど」




やめて下さい 梅さん
…なんて言えず下を向く

恥ずかしいのと何も言ってくれない隼哉さん

肩を竦める



隼哉「そうどすなぁ…」





畳みの上を歩く足音
隼哉さんの足が見えて


ゆっくりと上を向くと
隼哉さんが私の前に立っていた。



「…ははっ 似合わないですよね …すみません ずっと廊下でお待たせしてしまって…梅さんにせっかく初めてお化粧してもらったのに…」



何も言ってもらえない事に何だか
寂しくて悔しくて
梅さんに申し訳なさすぎて
喋り続けると涙が出そうになる

こう言う時
泣き虫って本当に嫌だなって思う






隼哉「いや?似合ってるで?はんは薄化粧の方がええかもしれへんどすな」



「そうですね 薄化粧の方がいいでs…え?」




一瞬
時間が止まったように見えた。


隼哉さんが私と同じ目線になるようにしゃがみ
まるで子供をあやすように
頭を撫でる


「…ほ、本当…ですか?」


思わず聞いてしまう私に
隼哉さんはクスッと笑い



隼哉「ホンマや」


私の目を見てそう言ってくれた。







梅「あら 2人の世界に入ってもうてるわ」



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