第1章 潔癖症ポニイティル
話に聞き耳を立てていると、ひふみの横で二人分の足音が止まった。なんだ、と顔を上げると見たことのある黄色の瞳がこちらを見ていた。
「よう、グズ。まさかお前がココにはいれるなんてなあ?オタク眼鏡の斎藤ひふみクン?相変わらずウドの大木のような身長だな。」
「お、お前は――・・・!クエスト・クラウン?!」
そこに立っていたのは小学生の時、ひふみを虐めていたクエスト・クラウンだった。彼は髪をひとつに結いふわふわの短いスカートをはいており、みるからに女の子である。クエストの傍らに居るもう一人の女の子はワンピースを着た肩まで伸びたブロンドの似合う青い瞳の女の子だった。
「(な…、なんでクソチビクエストが…よりにもよってアカデミーに?!って言うかなんで女装しとんねんコイツは!あと…この女の子、どっかで見たことあるわ。でもこんなんやったか?)」
「あ、えっと…ふふ、こんにちは。ランク・ジョンソンっていいます。よろしくね。ひふみくんとは小学生の頃同級生だったんだけど…」
「…ああ、そうだったっけ?でもあんまり覚えてないな。」
視線に気づいたランクと名乗った女の子はにこりと笑い自己紹介をした。それをみたクエストは面白くなさそうに彼女を後ろに隠す。
「ランクに気軽に話しかけるな。それにしても先ほどは僕の方をじっと見ていたがそんなに僕の格好が気になるのか…?男の癖に中々着こなすだろ。」
そう言ってすらりと上げた足に、確かにとひふみは生唾を飲む。するとその反応をまっていたかのように、クエストはあざ笑った。
「うわあ…気持ちわりい!なんだその顔ド変態か?!」
「そ、その言い方はないだろ!お前だって…ッ」
「なんだよ真実じゃないか。日本人の大半はみぃんなムッツリでオタクで眼鏡で平和ボケでーー…特殊性癖持ちなんだろ?」
その言葉に周りがざわざわとざわつく。それにひふみが焦っている間にクエストは唇をふにふにしながら次の言葉を紡ぐ。