第1章 潔癖症ポニイティル
雨の降る中それは突然の事件だった。
ー恋愛状態とは、快感の伴う強迫性神経症である。
ヘレン・フィッシャー/人はなぜ恋に落ちるのかー
ダイニングでは男性がファイルを見ながらサンドイッチを頬張っていた。
「冷蔵庫には三つの頭部と肉片・・・。キャビネットの上部には三つの頭蓋骨。下段には各部の骨・・・。キッチンには鍋で煮えて崩れた頭が三つ、その他の鍋も切断された腕が数本・・・、ガラス瓶の中には切り取られた男性…ぶふッ!!」
「ちょっと汚いわよひふみ!目の前で嘔吐しないで頂戴!食欲が失せるわ!」
「あ、ご、ごめん・・・(昼に猟奇殺人のファイル纏めよゆうて誘ったのお前やないか・・・)」
ここはバージニア州クワンティコ、FBIアカデミー。花形職業〝FBI″を目指し、未来のFBI達は今日も訓練に励んでいる。
優しい先生、頼りになる先輩たち(最も、どちらにもクズと呼ばれるが)そしてたくさんの課題に囲まれ、食事中も勉強の毎日だ。泣き叫びながら頭を抱えている男は斎藤ひふみ。188cmの筋肉質で大食らい。スーツを着てネクタイを締めており、好きなものは食べることと漫画。
(ただでさえ勉強が追いつかれへんのに・・・!どうしても殺人事件見ると思考が停止してしまうわ・・・)
ダメなものは死体と猟奇殺人、ホラーである。
彼には憧れる捜査官がいた。ジョーカー・ジョンソンという女性の捜査官だ。15年前彼は彼女に助けてもらった記憶があり、彼女のようになりたい。そう言う気持ちを糧にFBIになった。
「(どないしたら彼女みたいな、彼女みたいな捜査官になれんねん・・・。ジョーカー・ジョンソン―――・・・)やっぱダメぶッ!!!」
携帯の待受にしている彼女の手には猟奇殺人の写真。それを見てひふみは吐いてしまう。またやってしまった、そう落ち込んでいると急に周りの空気が変わった。コツコツと足音が響き二つのブロンドが揺れる。それを見た人々はヒソヒソと言葉を交わした。
「・・・おい見ろよあれ。例のMr.クイーンとエキストラジョーカーだぜ・・・。男の癖に女の格好してるからMr.クイーン。ジョーカー捜査官の妹だからエキストラジョーカー。」
「ああ、あれか。可愛いからみんな最初は二人に騙されるんだろ。そして騙されたら最後・・・。」