第5章 WATCHING U
「私がついてる、大丈夫ネ!クエストのためなら何でもするヨ!絶対危ない目になんか合わせないネ!」
それを見たランクとクエストは、別々の複雑な気持ちを感じていた。ひふみはまた出来てしまったクエストとテンの世界に疎外感を感じつつも、女装をやめるとか、ランクと一緒にいないと言う選択肢はないのか。と不思議に思ったのだった。
クエストはため息をついた後、ガチャリと扉を開けて現場に向かおうとする。その後ろへ皆、ついて歩いていった。
「確かーー、現場はAB棟間の渡り廊下よネ?」
「ああ。でも流石に現場の封鎖はされていると思う。他の場所から確認するんだ。」
「はーい!」
テンが嬉しそうに返事して付いていく中、それを横目にぼんやり見ながらランクは歩をすすめていた。
ランクは焦っていた。テンと言う強くてかわいい女の子がクエストを守ろうと必死になっている。自分は離れたほうがいいのかもしれない。でも離れたくない。否、離れられない理由がある。あの時だってテンが来なかったらクエストは殴られてしまっていた。それがずるずると尾を引く。もっと強くなりたい。
「……い…おい…おい、ランク!」
「ッはい?!!」
そう考えながら、ぼーっと歩いていたランクは話しかけられているのに全く気づけなかった。その様子を見たクエストはまた溜息をついた後、足を止めてランクの方を見る。
「…またお前の事だ。僕を守れなかった、なんて考えているんだろうな。」
「うっ…」
「僕的にはお前がが殴られるのを見ている方が見るに堪えないから、先ずは自分を守れるようになってからだな。」
そう言ってクエストはイタズラっぽく笑う。その言葉を受けて本格的に落ち込んでしまったランクをクエストは両頬を掴み前を向かせる。