第5章 WATCHING U
チーム分けの名前欄に四人の名前が並ぶ。
「テン・シー言うネ!よろしくヨ!」
そう嬉しそうに振り向いた女の子は自分の名前を名乗り、クエストの手を取る。
「あ〜んもう私幸せネ!!いつでも助けてあげるヨ、クエスト」
「それはいいって言ってるだろ…」
完全に二人の世界になってしまっているテンとクエストを見ながら疎外感を感じてしまうひふみとランクだったが、ランクが思い出したように声を上げる。
「そ、そうだ。現場にいくんでしょ?」
「…!でもーー、現場に行くってどういう事だ?そんなとこ見られたら最悪、犯人扱いされるかもしれないぞ?きっと事件現場も閉鎖されてると思うし…」
テンに握られていた手を振りほどいたクエストは考えるように手を持っていく。
「いや、…犯人を野放しされるほうがまずい。お前だって…、何もせずに事件が解決するのを待っていられるのか?自分の不甲斐なさにまた落ち込むんだろ?」
当たっていたのか、ひふみはクエストの言葉に固まる。クエストは唇を触りながら言葉を続けた。
「それにロイが言っていた「女装」って言葉がどうも引っかかる…。」
「「女装?」」
「「女装趣味なんてお前しかいない。」そう言ったのよね。」
「そうだ。たとえ殺人現場を発見しても、女装しているからと犯人にはしないしできないよな?恐らく犯人または被害者は女装をしている。女装をしている僕が犯人から命を狙われるかもしれないという事は杞憂であればいいのだけれど…少なくとも疑われるのは確実だ。だから自分の目で識る必要がある。身を守るためにも、…もちろんランクや無実の人を巻き込まないためにも…」
その言葉にランクが口を開こうとした、その時テンから大丈夫ネ!と大きな声が聞こえてはっと二人はそちらを見る。