第7章 フィリップへ
翔:「僕の事よりさあ、ゼンさんの事が知りたい」
ゼン:「私の?」
翔:「うん。いつから執事やってるの?」
ゼン:「私が6つの時です。養父から今のノーブル様に引き取られその時から執事として教育を受けて来ました。」
翔:「へえ、そんな若い頃から執事教育受けるんだ。じゃあ、ネックレスはノーブル様から貰ったの?」
ゼン:「は?ネックレスですか?」
翔:「今も付けてるでしょ?僕と色違いのやつ」
ゼン:「・・・・」
翔:「僕も同じ形のネックレス持ってるんだよ?あれ?てっきりゼンさん知ってるんだと思ってたんだけど?」
ゼン:「いえ、ネックレスに関しては存じませんが・・これは私が幼い頃父に捨てられた時に母から父にそして父から私に形見として持たされたもので失くさない様に言われたものです」
翔:「そのお父さんとお母さんは生きてるの?」
ゼン:「母はいません。物心付いた時には病気で亡くなりました。父は行くへ知らず・・生きているかどうか・・」
翔:「探した?」
ゼン:「いえ・・」
翔:「自分を捨てた父親でも唯一血の繋がった人だよ?気にならないの?」
ゼン:「私はノーブル様に仕える事を生きがいに生きて来ましたから・・正直、自分の過去の事は・・」
翔:「そっか・・」
翔は椅子から立ち上がるとスタスタとバックの中から木箱を取り出した。
箱は鍵が掛けられていてキーケースから小さな鍵を取り出し開けた。
ゼン:「それは・・?」
気になったのかいつの間にか翔の背後から覗き込む。
箱の中には大量の手紙と便箋とネックレスが仕舞われていた。
翔:「これ」
翔は箱からネックレスを取り出しゼンに見せる。
ゼンも首からネックレスを外しお互いのネックレスを見比べる。
色以外は全て同じ作りでゼンのネックレスの裏にも紋章が2種類刻まれていた。
ゼンは驚いた表情でその2つのネックレスを見比べていた。
翔:「ゼンさん。僕はゼンさんもノーブル城のプリンスになる資格があったんだと思うよ?」
ゼン:「・・・・」