第7章 フィリップへ
本に目を向けたままお礼を言う翔。
ゼン:「軽食をお持ちしましたが召し上がりますか?」
翔:「そういえばお腹空いて来たかも・・」
ゼン:「体調はいかがです?先ほど頭痛がすると仰っていましたが」
翔:「お風呂で温まったからかなあ。さっきよりは良くなったよ」
ゼン:「慣れない場所にお連れしてしまった所為でしょうか」
申し訳無さそうに言いながら軽食をテーブルに並べ紅茶を淹れる。
翔は本からゼンへと目線を移しジッと見つめる。
翔:「もしかして罪悪感感じてる?」
ゼン:「・・ええ。私が貴方を指名して態々遠い日本からお呼びしたのですから」
翔:「ふーん・・ねえ。ちょっと休憩しない?」
ゼン:「はい?」
翔:「僕とお茶してよ」
急な申し出に目を見開く。
翔:「ダメ?」
ゼン:「しかし勤務中ですし・・」
困惑の表情を浮かべるゼン
翔:「執事の勤務って何時から何時までなの?なんなら僕がノンちゃんにお願いして許可取って来ても良いんだよ?」
ゼン:「そこまでおっしゃるなら少しだけ・・」
ゼンは翔に即されもう一つの椅子に腰掛ける。
予備のティーカップに翔がお湯を注ぎゼンにお茶を淹れる。
翔:「はい。」
ゼン:「ありがとうございます」
ゼンは和かにお礼を告げ紅茶を口に注ぐ。
すると翔はサンドイッチのお皿をゼンに差し出す。
翔:「これも良かったら一緒に食べてよ。多分僕1人だと残しちゃうから」
ゼン:「では頂きます」
ゼンがサンドイッチを一つ摘むと翔も一つ掴み口に運ぶ。
少し間を置いて翔がゼンに話し掛ける。
翔:「僕の事どうやって知ったの?サラお祖母様?」(グレン王子の祖母)
ゼン:「ええ。元を辿るとそうですね。サラ様からノーブル様に」
翔:「ふうん」
ゼン:「気になりますか?」
翔:「・・・・」
ゼン:「ただ捜査を依頼しただけではないのは事実です。貴方は間違いなくノーブル12世とその妃である樹里様の娘です。貴方はこの城のプリンセスになる資格があります」
翔:「・・・そんな事言われてもねえ」
翔は困った様に肩を竦める。