第7章 フィリップへ
百合根が感嘆の声を上げる中、ユリは眉間に皺を寄せている。
2人はウィル王子とクロードの後に続きそれぞれ客室へ案内されるが・・
クロード:「こちらがユリ様の客室になります」
ユリ:「・・・・」
案内された客室は中世ヨーロッパのロココ調という様な豪華な内装と家具でなんとも豪華な客室だった。
心配で見に来た百合根とウィル王子。
百合根はこの内装の部屋に通されたユリの反応にドキドキしている。
百合根:「・・・・」
ウィル:「・・・・」
クロード:「・・・・・」
ユリ:「・・・・」
ユリは室内をキョロキョロ見渡す。
ユリ:「へえ・・随分綺麗な部屋だね」
クロード:「気に入って頂けましたか」
クロードは僅かに笑みを浮かべて応える。
ウィル:「彼女気に入った様だよ?」
百合根:「そうみたいですね・・」
なんだか腑に落ちない百合根警部の心配がこの数分後的中する。
・
・
クロードは紅茶セットのワゴンを引きながらユリの部屋に訪れる。
🚪コンコンッ
ユリ:「どうぞ」
クロード:「失礼いっ・・なっ!ユリ様!これは一体どういう事ですか!!💢」
ユリは黙々と自分の落ち着くスペースに1人掛けのソファを動かし巣作りするかの様に荷物を無造作に散らかしたり縫いぐるみや本をあちこちに放り投げる。
それを片付けようと手にするクロードにユリは眉を寄せ抗議する。
ユリ:「やめて!」
クロード:「!」
ユリはクロードが手にした縫いぐるみを奪い返す様に取った。
そしてその縫いぐるみを抱き締める仕草を見るとどこから見ても少女そのもので調子が狂う。
クロード:「・・・はぁ・・どうして貴方は綺麗に片付けられないのですか?」
ユリ:「・・・・」
クロードは諦めティーセットをソファテーブルに並べる。
クロード:「紅茶とケーキをお持ちしましたのでどうぞ」
ユリ:「うん・・」
ユリはクロードが用意した場所に腰掛けるとクロードが淹れる紅茶を一口飲む。
ユリ:「美味しい・・」
ポツリと溢れた言葉に自分でも驚く。
食事などで美味しいと思う事はあれどポロっと口に出す事は滅多にない。