第7章 フィリップへ
ウィル:「その様だね。でも本当に明日フィリップに来てくれるの?」
ウィル王子が百合根に尋ねる。
百合根:「まあ、そうなりますかね・・?」
クロード:「もしやお城に招くおつもりですか?」
ウィル:「そのつもだが何か問題でも?」
クロード:「いえ・・」
クロードはちらっと翔を見ると翔は会話に興味無さげにゼンと部屋に入って行くのが見えた。
クロード:「ただ青山様のお部屋をどうしたら良いのかと・・」
テオ:「書庫で良いんじゃない?」
クロード:「大事な書物をめちゃめちゃにされるのは困ります。」
テオ:「別にめちゃめちゃにはしないと思うけど?」
ウィル:「じゃあやっぱり参考に部屋を見させて貰うのが良いんじゃない?」
結局、翔の部屋に入る事になった。
書庫の為本だらけの部屋にベッドやテレビにソファと家具が揃えられている。
通常客室にはトイレとお風呂が備えられているが無いので近くの大浴場へ行って済ませている。
あらゆる本が見事に乱雑に置かれ一部は小さな山になっている。ある意味芸術の様だ。
エド:「ほお・・これは凄い・・!」
ウィル:「へえ・・」
翔は椅子に腰掛け本を読んでいる。その後ろにゼンがドライヤーを持ち翔の髪を乾かそうとしている所だった。
ノーブル12世の血筋だからなのかゼンは翔の身の回りの世話を尽くす。
グレン王子の話を聞いてゼンの行動に納得する部分もあるけど翔に好意を持っている様にも見える。
当の本人はゼンの行動の心理に気づいてる筈だが全く無関心を貫きつつ今はされるがまま大人しく髪を乾かせている様だ。
因みに翔の手元にある本はフィリップの観光名所や地図が記載されているもの。
エド:「書庫を部屋に改装するのも面白そうですね」
ウィル:「うん。うちに来た時も書庫を彼女に使わせたら良いんじゃない?」
所がクロードは真顔で
クロード:「ご冗談を。彼女にはちゃんとした客室を使って頂きます。」
ウィル:「そう」
ウィル王子はつまんなそうな顔つきになった。
暫くして百合根をはじめ王子達は去って行き翔とゼンだけになった。
カチッとドライヤーの切る音が聞こえると
ゼン:「終わりました」
翔:「うん、ありがと」