第7章 フィリップへ
エド:「難儀な性分ですね。治らないのですか?」
百合根:「最初出会った頃よりは大分良くなりましたよ。男性恐怖症で出会った時は出勤すらして来なかったぐらいでしたから・・」
そこへ配膳に来たテオが口を挟む。
テオ:「けどさ〜。それって今でもあまり変わってないじゃん。今日も昨日も朝起こさないと起きないわ。部屋から出ようともしないわ。俺まで駆り出されたんだぜ?」
百合根:「うっ・・それは申し訳なかったです。議会室に向かうのに廊下を歩く事すら嫌なんじゃないかな・・」
クロード:「コッホン!テオ、言葉遣いが悪いですよ」
テオ:「・・すみません」
ウィル:「彼女の部屋は別の場所に用意したと聞いたが・・?」
テオ:「ええ、書庫の部屋で寝泊まりしてます。」
ウィル:「書庫?へえ〜行ってみたいな・・」
ニコッと微笑むと食事を終えテオの案内で書庫に向かうとゼンが書庫の前に立っていた。
翔がお風呂に行って居る間に軽食を用意していたらしい。
百合根:「翔さんはまだ戻っていないんですか?」
ゼン:「ええ、時期に戻って来られると思いますが・・」
ウィル:「そこが彼女の部屋?」
ゼン:「はい」
興味津々なウィル王子に困り顏のクロード
クロード:「ウィル様・・ご不在の様ですからまた改めて出直してはいかがですか?幾らなんでも一応女性なのですから勝手に部屋に入るのも・・」
翔:「何してんの?」
クロードの真後ろから声を掛ける。
クロードが振り返り目を見開く。
お風呂上がりに少し赤み掛かった頬と濡れたままの髪。誰が見ても頬を染めてしまうだろう艶っぽい翔の姿が視界に入り込んで来た。
そして瞬時に百合根は翔の機嫌を損ねない様に興味本位で部屋を見に来た王子達の事を隠そうと話す。
百合根:「あっ翔さん明日の予定なんですけど・・フィリップの方の調査をしようと思うんですけど・・」
翔:「それたった今決めた事?」
百合根:「(うっ・・)」
臨床心理学者の青山に嘘は通じない。しかし翔は怠そうな表情で
翔:「僕は構わないよ」
百合根:「すみません・・もう寝るんですか?」
翔:「そのつもりだけど?」
エド:「どうやら我々は間が悪かったようですね。ウィル王子」