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王子様のプロポーズ 〜ST 編〜

第6章 新たな人生




その頃


翔はゼンと書庫室に来ていた。


広い部屋いっぱいに本棚が天井まである。


翔が寝泊まりする書庫の直ぐ隣でもある。



ゼン:「こちらがエル・グレコの画集でございます」


翔:「ありがと。あと医療関係と建築関係のものってある?」


ゼン:「ええ、医療関係でしたらこちらに・・建築関係の書棚は右の奥の棚にあります」


翔:「分かった。後は自分で適当に見るよ」


そう言い翔はエル・グレコの画集をパラパラ見始めた。


ゼン:「かしこまりました。近くに控えていますのでまた何かあったらお呼び下さい」


翔:「うん」


ゼンは華麗にお辞儀をし翔の側を離れ一旦部屋を出て行った。


そしてエル・グレコを迎える準備に向かった。


翔:「・・・・」


翔は先ほど議会室でのやり取りを思い出していた。


翔:『グレンくん鈍いね』


グレン:『えっ?』


このやり取りで翔はグレンを見つめながらゼンの反応を同時に見ていた。


事件捜査などただの口実。


きっと自分はもうノーブル城から出られないかもしれない・・そんな予感を抱いていた。



翔:「ん?」


パラパラと画集を見るとある1枚の絵に目が止まった。


それは他の作品と異なりノーブル城の城下街が内乱によって街が炎で覆われ人々が逃げ惑う姿と火から逃げる為に噴水に逃げ込む人々などが描かれている。


そんな絵の中に炎の中に達磨が怒った様な絵が混じっていた。


翔はその絵を反転してみたり色んな角度から見る。



しばらくしてゼンが戻って来た。


ゼン:「青山様」


ゼンが広い書庫を歩きながら翔の姿を探す。


翔:「・・・・」


ゼン:「まだこちらにおられましたか」


翔:「どうしたの?」


翔はエル・グレコの画集を閉じる


ゼン:「エル・グレコ様がご到着されました」


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