第5章 ティータイム
ユリ:「ユリ悪い子だって打たれるの・・でも平気だよ?我慢すればまた此処に来て一緒に遊べるもん!」
グレンはユリの足や腕の痣を見て顔を顰める。
グレン:「痛くないの?」
ユリ:「うん!平気!」
どう見たって普通じゃない。
グレンは城に戻って祖母に聞いてみた。
グレン:「お祖母様、庶民の家庭では子供が親に打たれる事は普通なんですか?」
この質問に祖母は顔を顰めグレンに詳しく聞いた。
明らかに子供を虐待している。
グレンはまだ幼いながらも自分と同年代の子供達が大人に虐待という暴力を受けていた事を知り衝撃を受けた。
グレン:「(俺が守ってやらなきゃ・・!)」
そう心に強く思うのだがまだ幼いグレンはどうして良いのか分からない。
いつも遊ぶお花畑に3人が笑顔で遊びに来るとホッとする。
しかし日に日に悟の様子が変だったりユリがジャラジャラと足首に鎖を引き摺って現れた時があったりとショックを受ける。
悟の場合
悟は翔の双子の弟
父親は離婚しており、娘が欲しかったのか5歳になった悟に女の子の服を着て可愛がる様になった。
悟が男の言葉遣いを使うと父親は激怒し悟を容赦無く殴った。
それを翔は黙って見守る事しか出来ずにいた。
悟は精神障害を起こしつつもそれを懸命に支えコントロールをしていたのは翔だった。
自由を手に入れる為悟はアイスピックを片手に父親を後ろから首に向かって刺し殺した。
翔と悟はしばらくストリートチルドレンとなりその後子供を売春に扱う裏組織のヤクザに保護された。
そこでユリと出会う。
ユリは人形の様だった。文字も書けず言葉はあまり喋れず無表情だった。
悟はユリを見てまるで自分と似ていると感じた。
*
*
グレン:「おっお前!何だ!?その鎖!?」
ユリ:「逃げない様にって・・そしたら悟くんが外してくれたの」
悟:「・・・・」
グレン:「なあ・・お前達の家って何処にあるの?」
翔:「聞いてどうするの?」
グレン:「どうするって・・」
翔:「僕達の事はあまり関わらない方が良い。じゃないと君まで狙われる事になるから。」
グレン:「・・・・」
何も出来ない自分に悶々としつつも彼らの傷は日に日に酷くなっていた。