第5章 ティータイム
間もなくしてゼンと各国の執事達がティーセットを持って現れた。
既に翔の座る机の上は大事な事件データの資料が乱雑に散らばっている。
しかしゼンはもう慣れたのか散乱した資料の横の空いた机に翔のティーセットを置いた。
ゼン:「青山様、こちらへ」
翔:「うん」
翔はゼンが用意した紅茶とスコーンの前に移動して座るが手には先ほどのバラバラ殺人の資料を手にしていた。
ゼンが翔の為に紅茶を注いでいると翔は乱雑に置いた資料の上にどかっとノートパソコンを置き何かを調べ始めていた。
百合根:「何を調べているんです?」
百合根が紅茶のカップを持ち翔の側に寄る。
百合根は優雅に紅茶を飲む王子達を他所に立ちながら紅茶を口に含む。
翔:「被害者の元交際相手の家族関係調べてたら気になる人物が出てきてさ・・」
百合根:「エル・グレコ・・?ってあの有名な画家の?」
ゼン:「彼なら5年ぐらい前にスペインからノーブル城の街に引っ越しをして来ました。」
百合根:「何故?」
ゼン:「理由は存じませんが・・彼が街に引っ越して来た事を知りノーブル様が1度彼に絵を描いて欲しいと依頼され今も廊下のロビーにその絵は飾られています。」
百合根:「へえ〜・・」
翔:「この画家、今も住んでるんだよね?」
ゼン:「ええ」
翔:「キャップ聴き込みしようよ」
百合根:「え!?聴き込みってエル・グレコにですか?」
翔:「うん。それに元交際相手のお父さん、エル・グレコの元で働いてるんだよね。2人に会ってみたい」
翔がこんなに捜査に積極的な事が珍しく百合根は驚いていた。
それに翔が興味を示すには必ず理由がある事を百合根は理解している。
百合根:「分かりました。ゼンさん、エル・グレコの住所分かりますか?」
ゼン:「はい」
ウィル:「彼、今ノーブルの街に居ないよ」
百合根:「え?」
ウィル:「今、国王様に呼ばれてフィリップに居る。」
百合根:「それじゃあどうしたら・・」
ウィル:「クロード」
クロード:「はい」
ウィル:「今直ぐにフィリップに連絡しろ。可能であれば直ぐにエル・グレコをノーブル城に連れて来るんだ」
クロード:「かしこまりました」