第3章 ウィル王子編
端から端へ会場のドアに辿り付くまでの人混みと多くの声で頭痛と息が詰まりだす。
やっとの思いで会場を出て廊下の壁に身体を預けズルズル歩くものの飾られる骨董品などの障害物があり歩き辛い。
翔:「ハァ・・」
段々胸が苦しくなり発作が起こりそうで急いで部屋に戻ろうとするものの身体が言うことを聞かない。
男性:「君大丈夫かい?」
知らない男性に声を掛けられる。
翔:「平気です・・」
男性:「とてもそうには見えないが・・」
ゼン:「どうかなさいま・・翔様!」
ゼンはへたり込みながら苦しそうにしている翔を見て慌てて駆け寄る。
そこへ共に歩いていたウィル王子とクロードも駆け寄って来た。
ウィル:「翔!」
翔:「ハァハァ・・」
過呼吸が続き上手く息が出来ない。
既に意識が朦朧として来ていた。
百合根:「翔さん!」
途中心配になって会場を出て来た百合根も遭遇し翔の周りに人集りが出来る。
ゼン:「しっかりして下さい!直ぐに部屋に運びましょう!」
百合根:「お願いします!」
ウィル:「僕も同伴させて貰って構わないかな?」
クロード:「ウィル様」
ウィル:「こうなってしまった原因がもしかしたら僕にあるのかもしれない」
百合根:「それは・・多分無いと思います・・」
ウィル:「何故?」
百合根:「彼・・彼女は確かに極度の対人恐怖症で特に男性恐怖症でした。」
百合根は歩きながら説明する。
百合根:「僕も初めて会った時中々心開いて貰えなくて苦労したんです。仕事柄男性が多い職場で初対面の相手になるとまともに目も合わせて貰えません。それに秩序恐怖症の上に潔癖性の裏返しで苦労も多いんですが近頃徐々に治って来ているんです。」
ウィル:「君は?」
百合根:「あ、申し遅れました。僕は百合根 友久と言います。青山 翔の上司です。日本から来ました。」
クロード:「失礼ですが、あなた方は何故このノーブルミッシェル城に?」
ゼン:「ノーブル様のご要望でして・・ここではなんですのでお部屋でご説明します。」