第14章 もう一度
黒子side
これは、マズいです。僕の彼女が可愛過ぎてどうしたらいいのでしょうか。
僕達はたった今お互いの気持ちを確かめ合いました。一緒に幸せになろうと約束しました。君は別れるつもりでいた僕に、「僕のことが好きだから絶対諦めない」と言ってくれました。君に嫌われたと思っていた僕にとってその言葉がどれほど嬉しかったか。君が僕を好きでいてくれることがどれほど幸せなことなのか改めて感じました。
この幸せを共有したくて君を抱きしめてキスしたところまでは良かったのですが、予想外の反撃にあってしまいました。君に「もう一度キスして?」とねだられてしまったのです。上気した頬、蕩けそうな表情、上目遣いの潤んだ瞳で可愛らしくねだられてしまったら男として応えなければなりません。なりませんが、今もう一度キスしてしまったら「それ以上」を求めてしまう自信が僕にはあります。僕は今、理性を失うギリギリのところで葛藤しています。今は合宿中で、部屋の外にはカントクがいる。でも、目の前には可愛らしくキスをねだる恋人がいる。
数瞬の逡巡の後、なんとか理性を保つことに成功した僕は君の頬にそっとキスしました。君は不思議そうな顔をしています。
黒子「すみません、今日はもうこれで許してください。君が可愛過ぎて僕の理性が持ちそうにないんです」
君の顔がみるみる赤くなっていきます。僕の顔も多分赤いでしょう。