第14章 もう一度
穂波「でも別れても私は諦めないから。私はテツヤ君のことが好きだから別れても諦めない。絶対にもう一度テツヤの彼女になってみせるから」
黒子「穂波…さん?」
穂波「私はテツヤ君が好きなの。傷つけられても信じてもらえなくてもそれは変わらない」
彼は驚いて私を見ている。私はそのまま続けて言う。
穂波「私はね、テツヤ君と付き合えて本当に幸せだったの。だから昨夜信じてもらえなくて悲しかった。幸せだったのは私だけで、テツヤ君はずっと辛かったんだってわかって苦しかった」
昨夜の辛そうな彼を思い出すと胸が痛む。
穂波「テツヤ君は自分のこと私を傷つけるだけの存在だっていうけど、それなら私だって同じだよ?ずっとテツヤ君に辛い思いさせてきたんだもん。自分1人だけで幸せなのに浮かれて1番大切な人が苦しんでいるのに気づかなかった」
黒子「それは僕の勝手な独占欲で…。」
穂波「勝手じゃないよ。好きな人独占したいのは当たり前。私だってテツヤ君のこと独占したいもん。でもテツヤ君はいつも私のこと特別扱いしてくれるから私はそれで満足してただけ。逆に私はテツヤ君が満足してくれるほどの特別扱いができなかったってことだから」
黒子「違います、僕は…君が笑っていてくれればそれでよかった」
穂波「私はそれじゃ良くないの」
わざとムクれて言うと、彼は困った顔をした。
穂波「私だけ幸せじゃ意味ないの。私だって好きな人に幸せになってもらいたいんだから」
黒子「僕は君が笑っていてくれれば十分幸せです」
穂波「テツヤ君欲がなさずぎ」
黒子「できれば僕のためだけに笑っていてくれるともっと幸せです」
穂波「前言撤回。欲張りすぎ」
私達は顔を見合わせて笑った。
穂波「だから、ね?一緒に幸せになろうよ」
黒子「…はい。必ず幸せにしますから、穂波さんも僕を幸せにしてください」
穂波「なんだかプロポーズみたい」
黒子「予行練習です」
そう言って彼は私を抱き寄せるとキスをした。それはとても甘いキス。