第13章 信じて
リコ「それで、私が聞いても大丈夫なこと?」
私は頷いて順を追って話し始めた。昼間の一件で彼が不安がっていることに気づいたこと。彼の不安を払拭するために会いに行ったこと。話をしていて突然キスされたこと。
穂波「キスされてわかったんです。テツヤ君がどれだけ私のことを好きなのか」
リコ「そんな好きでもない人にキスなんてしないわよ」
穂波「違います。テツヤ君は私のことをすごく好きでいてくれたんです。だけど同時にわかっちゃったんです。テツヤ君、私の気持ちも自分自身のことも信じてないって」
リコ「…どういうこと?」
穂波「私がどんなに好きって言っても信じてくれなかった。それはテツヤ君が自分のことを好かれる資格がないと思っているからです。テツヤ君は自分のことを、私を傷つけるだけの存在だと思ってるんです。だから私に好かれる資格はないと思ってる。私がテツヤ君を好きな気持ちも好かれてる自分のことも否定してるんです心のどこかで」
リコ「でもそれならどうして黒子君は穂波と付き合ってるの?」
穂波「私がテツヤ君に好きって言ってるから。テツヤ君も私のことを好きでいてくれるから手離せないんだと思います」
リコ「立派に両想いなんじゃない。なにが問題なのよ?」
穂波「でも私、テツヤ君に大嫌いって言っちゃったんです。テツヤ君が私の気持ちも私の大好きなテツヤ君自身のことも信じてないのが悲しくて。本当は誰よりもテツヤ君のこと好きなのに」
リコ「そんなの黒子君だってわかってるわよ」
私は首を横に振った。また涙が溢れてくる。
穂波「テツヤ君は私のことを信じてません。だから私が嫌いって言ったら本当に嫌いなんだと思うはずです。どうしよう…別れるって言われたらどうしよう…」
リコ「慰めてあげたい所だけど今聞いた限りではあなた達2人でどうにかしないといけない問題よ。明日一日時間をあげる。マネージャーの仕事はしなくていいから自分がどうしたいのか、どうするべきなのか考えなさい。明日の夜黒子君と2人で話せる時間を取るからそれまでに覚悟を決めておきなさい。いいわね?」
穂波「わかりました…」