第11章 夏合宿
いきなりそんなこと言われても…。返事に困ってテツヤ君の方を見ると、彼もこちらを見ていた。
穂波「どうしようテツヤ君…」
黒子「僕からもお願いします。カントクの負担を少しでも減らしたいんです。それに穂波さんが引き受けてくれたら僕はとても嬉しいです。練習中も君のそばにいられるから」
うわ、そんな捨てられた子犬みたいな目で見ないで。だけど練習中もそばにいられるのは魅力的だし、うーん…。
穂波「…わかりました。お引き受けします。ただこちらからも一つお願いがあります」
日向「よっしゃ!やってくれるか、ありがとな!なんでも言ってくれ」
穂波「私、人の名前を覚えるのがすごく苦手なんです。今から覚えるように最大限努力してみますが合宿終了までに覚えきれない可能性があります。ですからもし私が皆さんの名前を間違えても怒らないでもらえますか?」
伊月「なんだ、そんなことなら全然構わないよ」
日向「その程度で怒るほど小さかねえよ」
穂波「ありがとうございます。それでは合宿中よろしくお願いします」
日向「おう、こっちこそよろしく頼むな」
伊月「あ、それで今度合宿中のメニューの試食会をやるんだけど参加してくれるかな?」
穂波「試食会…ですか?」
日向「ああ、カントクがどうしても自分が作るってきかなくてな。それで悪いんだが一度試食会を開いてカントクに納得してもらわないといけねんだわ」
伊月「ぶっちゃけるとウチのカントク、料理がちょっと苦手でね」
えーと、それってもしかして?
黒子「穂波さんは料理上手ですからみんなすぐに納得してくれますよ」
ああ、やっぱりそういうことでしたか。