第10章 変革
穂波side
ワンピOK、靴OK、バッグOK、メイクOK、差入れのレモン蜂蜜漬けOK。
デート並みに気合を入れて準備した今日は、バスケ部の試合の日。IH予選決勝リーグ一日目、対桐皇学園戦。テツヤ君に差入れ持って応援しに行くと約束したのだ。でも試合前は数分しか会える時間がないからその間に差入れ渡さなきゃ。二人きりでは会えないって言ってたし、慌ただしくなりそうだから早めに会場に着いておこう。
会場の入口でバスケ部の皆さんが来るのを待つ。人多過ぎて見つけられるかな。
♪ピロリン♪
テツヤ君からメールだ。
【今どこにいますか?】
入口の看板の前と返信すると、人混みの中をすり抜けて彼が現れた。
黒子「お待たせしました」
穂波「あら?バスケ部の皆さんは?」
黒子「無理を言って僕だけ抜けさせてもらいました。またすぐに戻らないと行けません」
穂波「そっか…あ、これ約束の差入れ。レモンの蜂蜜漬け。皆で食べてね」
黒子「ありがとうございます」
穂波「頑張ってねテツヤ君、私応援してるから」
黒子「約束します、必ず勝つと」
穂波「うん、信じてるから。試合が終わったらまた会える?」
黒子「大丈夫だと思います」
穂波「じゃあ試合後にまたね」
黒子「はい」
仲間のところへ戻る彼を見送って、会場へ入った。
緊張していたのだろうか。彼の表情が少し硬かったような気がしたのだが。
誠凛のベンチが見える席を探して座る。
頑張ってテツヤ君。