第10章 変革
穂波side
えーと、何コレ?
隣の席で私の彼氏が天使の微笑みで見つめてくれているのはいいとして、なんでソコで火神君が焦ってるの?
私は今お昼ご飯を食べている。テツヤ君と律香と火神君の4人で。正確にはそれぞれ自分の席で食べているだけなのだが、お互い前後左右なので自然と会話をしていた。
律香「火神君てさあ、それだけのカロリーどこに消えてく訳?」
火神「うるせーな、腹減るんだから仕方ねーだろ」
黒子「燃費悪いですよね火神君」
穂波「テツヤ君は逆によくそれだけで部活終わるまで持つよね」
律香「足して二で割ったら丁度良いじゃない⁈」
私はふと思ったことを聞いた。
穂波「テツヤ君ていつも購買のサンドイッチだけどお弁当作ってもらえないの?」
黒子「はい、ウチは両親共働きなので。穂波さんはいつもお弁当ですよね。自分で作っているんですか?」
穂波「うん、私今一人暮らしだから、何かあった時のために貯金しておこうと思って節約してるの」
火神「へえ、お前も一人暮らしなのかよ」
穂波「火神君も一人暮らしなの?」
火神「まあな。本当は親父と二人で暮らすはずだったんだが仕事の都合で親父アメリカに戻っちまったし」
律香「穂波はなんで一人暮らしなの?」
穂波「実家からだと遠いの。だから兄さん夫婦がイギリスに行ってる間だけ兄さんのマンションに留守番も兼ねて居候させてもらってるの」
黒子「寂しくはないんですか?」
穂波「んー?始めのうちは寂しかったけどもう慣れちゃったから」
黒子「寂しかったらいつでも言ってくださいね。君のためならすぐに飛んで行きます」
火神「なっ⁈お前何言ってんだよ⁈」
黒子「…火神君の家には行きませんから安心してください」
火神「じゃなくて女の家だろうが‼︎」
ああ、そういうことね。火神君てば純情さん。
穂波「彼氏以外は家にあげたりしないよ」
律香「えー⁈じゃあ私もダメ?」
穂波「律香は特別、お泊りOK」
律香「やったー‼︎穂波愛してるわ」
穂波「私もよ律香」
黒子「二人とも僕の前でやめてください」
それはいつもの光景。他愛ないことを話しながら笑いあう。そんな日が続くと思っていた。