第8章 蕾
火神「え、でもカントク、練習が…」
リコ「いいから今すぐやりなさい!だいたい提出物くらいちゃんと出しなさいよ!バカじゃ勝てないっていつも言ってるでしょこのバカガミが‼︎」
あ、やっぱりハリセンの刑ですか。自業自得ですね。
火神君はプリントを受け取ると問題に目を通し始めました。あれ?このプリント3択問題になっています。僕がもらったプリントは記述式だったはずです。火神君用に先生が用意したんでしょうか。
伊月「へぇ、お前ら今ここやってるのか」
土田「3択なんて親切なプリントだなぁ」
黒子「いえ、僕がもらったプリントは記述式でした。これは火神君用に先生が特別に用意したものだと思います」
日向「なんだその特別待遇は⁉︎」
みんなが
ワイワイと火神君を囲む輪の中からそっと抜け出て小坂さんの方を見ました。カントクと何か話しているようです。みんなの方を向いて微笑んでいました。
よかった、また笑ってくれるようになったんですね。でも嬉しいはずなのに胸の奥がジリジリと焼けるように痛いです。例えそれが僕に向けられたものでなかったとしても、僕は君がもう一度笑ってくれればそれでよかったはずなのに。どうしてこんなに苦しいんでしょうか。
小坂さんは一度うつむくと何かに気がついたようにこちらを見ました。とても申し訳なさそうな顔をしています。そんな顔をしないでください。どうかもう一度笑ってください。でないと僕は…。
僕、は?