第7章 散華
穂波side
バスタブにお湯を張る。その間に律香の所へ「ふられちゃった」とだけメールして、濡れた服を洗濯機の中へ放り込む。折りたたみ傘は持っていたけど、濡れて帰りたかったからそのまま帰ってきた。
別れ際に「今日のことは忘れて」って言ったけど、ちゃんと笑えてたかな、私。明日からもちゃんと笑わなきゃ。心配させないように。
お湯を張り終えたバスタブの中でぼんやりしていると、涙が一粒こぼれた。
ああ、私悲しいんだ
そう思った途端に後から後から涙が溢れてくる。止められなかった。止める気もなかった。お湯が冷めて温くなるまで私は泣き続けた。