第25章 準々決勝開始
消えるドライブで11番の人を抜き、シュートモーションに入ったテツヤ君の前に紫岩君が立ちはだかる。完全にシュートコースを塞がれているにもかかわらず、それでもテツヤ君は構わずシュートを撃った。はたき落されると思ったそれはシュートなんかじゃなかった。紫川君の後ろで火神君が跳んでいたのだ。そのままアリウープが決まり34対43に。残り4分50秒。1桁差に戻してきた。頑張って、みんな‼︎
テツヤ君の活躍はそれだけではすまなかった。なんと紫沢君にマンツーマンでついたのだ。ここでテツヤ君は頭脳プレーで紫山君からファウルをもらい、陽泉の攻撃の糸口を摘む。ナイスプレーと言いたい所だけど、あの体格差で吹っ飛ばされて大丈夫なのかなぁテツヤ君。いろんな意味でハラハラしながらそれでも私は見ていることしかできない。通路の手すりを掴む手に力が入る。神様、どうか。祈りが通じたのか、日向先輩が3Pを決める。37対43。もう少し、後少しだ。
そして誠凛のディフェンス陣形が変わったことにきづく。もしかしたらアレをやるのかもしれない。果たしてその予想は当たった。
「ステルスオールコートマンツーマン」
細かくマークチェンジを繰り返し、テツヤ君のスティールを最大限に活かすディフェンス陣形。夏からずっと練習してきた新フォーメーションだ。それが功を奏して、紫花君へのパスをカットしたテツヤ君がそのまま得点を決めた。その後も一進一退の攻防が続き、残り数秒というところでドリブルで突破しようとした5番の人をテツヤ君がとめた。こぼれ球を伊月先輩が拾いブザービーターが決まる。かと思いきや、少し遅かったようでノーカウントになってしまった。惜しいなぁ……つか、ちょっとくらい大目に見てくれてもいいのに。結局43対47で第3クオーターは終了した。