第25章 準々決勝開始
一瞬の沈黙の後、会場中からどよめきがわき起こる。さすがにゴールが壊れてしまっては試合にならないから一時中断になった。
穂波「あの…念のために伺いますけど、ゴールって簡単に壊れるようなモノじゃないですよね?」
青峰「あ?んなことたりめーだろ。まあNBAの選手とかには壊したヤツもいるみてーだけどな」
えーと、それって日本ではそうそうないってコトですよね?紫笠君がどれほどバケモノじみた選手なのか嫌というほど思い知らされる。あんな人どうやって止めればいいの⁉︎
ゴールの交換がおわり、試合が再開された。一時中断で流れが切れるかと思いきや、紫花君の勢いは止まらない。オフェンス参加で隙ができるどころか、バスケ本来のリズムになってより強力になっているくらいだ。圧倒的な力の差というのはこういうことなのだろう。でもみんなで力を合わせれば闘えるはず……‼︎頑張って、みんな‼︎
そんな願いもむなしく紫山君は力の差を見せつける。こぼれ球のリバウンドを取るとそのままドリブルで突破してダンクを決めた。戻っていた火神君と木吉先輩を吹っ飛ばして。アレは本当に同じ人間なのだろうか。そんな疑問さえ浮かぶ中、誠凛のもう一つの懸念が現実になった。木吉先輩の限界が来たのだ。立ち上がれずにいる木吉先輩に何故か紫河君が手を貸している。慌てて駆け寄る日向先輩にそのまま木吉先輩を引き渡した。一体何がどうしてどうなっているの⁉︎観客席の一番後ろからではコートの中の会話は聞こえるはずもなく、ただ木吉先輩とテツヤ君が交代する光景だけが見える。だけどコートの中へ入るテツヤ君は怒っている。火神君も、先輩達も。多分紫坂君が木吉先輩に手を貸した時に何か言ったのだろう。それに対してみんなは怒りを覚えている。
そしてテツヤ君にボールが渡った。