第25章 準々決勝開始
喜んでいられたのは一瞬だった。木吉先輩が倒れたのだ。幸いすぐに立ち上がったけど、相当消耗しているのは明らかだ。でも交代してしまったら誠凛は一気に高さが足りなくなる。今の所追い上げには成功しているけど、木吉先輩の体力がどこまで保つか。多分それも時間の問題だろう。そしてもう一つ、むしろこちらの方が大問題かもしれない案件が現実になった。紫山君がオフェンスに参加した。トリプルチームをまとめて吹っ飛ばすほどのパワーでダンクを決められた。なんてすごいパワーなの⁉︎
驚きで呆然としていると、観客席から野次が聞こえてきた。何言ってんのあの人達⁉︎素人の私でも紫花君がすごいってことがわかるのに、どこに目つけてんの⁉︎野次の聞こえてきた方を睨んでいたら、隣から溜息が聞こえてきた。
青峰「ったくこれだから素人は……知ったかもいいとこだ」
穂波「え?」
青峰「エネルギーってのは重さ×速さだろ」
桃井「大ちゃんが物理っぽいこと言ってる⁉︎」
青山君ちょっと違うけど大体合ってるからまぁいいか。桃井さんどうしてそんなに驚いてるの?
青峰「でかいけどノロい奴、速いけどチビな奴。そんな選手はゴマンといるが紫原ほどデカくて速い奴は見たことねえ。紫原の持つエネルギー量は文字通りケタが違う」
確かに紫坂君は大きいし速い。普段ののんびりモードが別人に見えるくらいだ。大きさ=重さとして考えると、彼がどれほどのエネルギー量を持つのか容易に想像がつく。そしてそれは形となって表れた。紫岩君の決めたダンクの衝撃でゴールが壊れてしまったのだ。