第23章 緒戦開始
高尾「それでも両チームエース一辺倒なのはいったい…。他の4人でボールを回せば点は取れるんじゃないか?」
緑間「ムダなのだよ。おそらく結果は変わらない。ゾーンはただ100%の力を発揮するだけのものではない」
穂波「緑間君どういうこと?」
緑間「ゾーンに入ると雑念はもちろん周囲の声・音・景色の色まで不必要な情報はすべてカットされ、その分目の前の相手だけではなく他の選手の位置や動きなど必要な情報の処理能力が向上する」
高尾「…は?」
穂波「えーと…それって?」
緑間「要は『視野が広がる』のだよ」
そういうもの…なの…?
緑間「加えて片や高校最速の男と片や高校最高の男だ。守備範囲は常人のそれをはるかに超える。今の二人の前で生半可な攻めは逆に危険だ。だからこそ勝負の行方は二人のエースに託された」
そんな場面なのに5番の人はなんだか楽しそうだ。ある意味すごいなあの人。
二人のエースが散らす火花は会場すべてを魅了し、永遠に続くかに見え、また誰もがそうあってほしいとさえ思った。
だが、決着は突然訪れた。