第23章 緒戦開始
それでもなんとか食らいつこうと火神君にボールが渡る。でも一瞬の隙をついて5番の人に奪われてしまう。日向先輩が止めようとするけどかわされてしまった。だがその間に火神君が回り込んでブロックに跳ぶ。5番の人はそれを空中で一回転してかわし、ダンクを決めた。
穂波「今のって…何⁈」
高尾「これはいったい…」
緑間「単純なことなのだよ」
高尾「え?」
緑間「火神が身につけたものはおそらく『野生』と呼ばれる類いのものだ。…だが『野生』を持つのは火神だけではなかった。それだけの話なのだよ」
穂波「それってつまり5番の人も…?」
緑間「本気でプレイすることが極端に減ったことでカンが鈍っていたようだが、火神との戦いで徐々を取り戻していったのだろう…」
それでなくともすごいのに、更にすごくなったってこと⁈テツヤ君は相変わらずマークを外せない。少しずつ点差が開いてきた。第3クォーターも後僅か。観客席からは終わったなという声が聞こえてきた。思わずそちらの方を睨むけど、緑間君に止められてしまった。
緑間「落ち着け小坂。だがもう誠凛に逆転は無いのだよ。黒子を見てみろ」
…テツヤ君のマークが7番の人に戻ってる?見えてるんだ。テツヤ君の視線誘導が完全に切れた。それはもう誠凛の切り札が完全になくなったということ。でも何故だろう…まだ何かがある気がする。だけどそれはとても危険なもののような気がしてならない。虫の報せかはたまた女の勘か、それだけはダメだと何かが警鐘を鳴らしている。