第23章 緒戦開始
タイムアウトが終わると日向先輩が新技で3Pを決めた。そこから両チーム共3Pの打ち合いになる。一進一退の攻防が続き、残り5秒で桐皇が3Pを決めた。これで第一クォーターは決まりかと思われたが、テツヤ君のドライブから日向先輩の3Pで同点となって終了した。
緑間「黒子はまたあのドライブを出してきたな」
高尾「ま、アレは条件さえ満たせばわかってても止めらんないからな」
高尾君、あのドライブの秘密知ってるの⁈
木村「…条件?」
高尾「条件っつーか…あのドライブはそもそも黒子一人じゃできないんすよ」
木村「一人じゃ…?つーかわかったのか高尾⁉︎」
高尾「まあ、オレと真ちゃんは思っくそ抜かれまくったんで」
緑間「黙れ高尾。次は止めるのだよ」
高尾君は秀徳の人達に説明を始めた。
高尾「…まず動きは、あれはナナメに動くダックイン。人間の目はタテヨコは追えてもナナメの動きに弱い。しかも黒子は人の視線を読み取る能力に長けているから特別追い辛い角度で沈んでくる」
高尾「これだけでも並みの選手じゃそうそう止められない…がせいぜい『消えたように見えるドライブ』だ」
緑間君が続ける。
緑間「だがある条件を満たした時…消えるドライブは完成する」
木村「だからその条件ってなんだよ」
緑間「それが火神なのだよ」
高尾「ヤツのコート上での存在感は群を抜いてるからな」
緑間「コートで最も存在感のあるものはボールであり、それ故本来黒子はボールを持った状態で視線誘導はできない。だが今の火神に対してなら一瞬だけ視線を誘導することができる」
高尾「つまり敵が火神に視線を移した瞬間にナナメのダックイン。それが消えるドライブの正体ってワケなんすよ」
緑間「言い換えれば消えるドライブは抜こうとする相手の視界に火神がいる時しか使えないのだよ」
高尾「…でしょ?穂波ちゃん」
穂波「…うん、その通り」
テツヤ君が以前説明してくれた通りのことを2人ともわかっていた。あのドライブで一番抜かれてるのがこの2人なのだからそれも当然なのかもしれない。
木村「なら火神と黒子を引き離せばいいじゃねーか」
緑間「火神のマークは青峰なのだよ。奴がわざわざそんなことをするとは思えん」
確かにそんなことをするようなタイプには見えない。何故か胸騒ぎがする。テツヤ君…頑張って。