第22章 開幕
赤司「ひとつ質問しよう。今、テツヤとではなく僕と付き合えと言ったら君はどうする?」
はい?何をいきなり言い出すかと思ったらそんなことですか⁈答えはひとつに決まってるでしょう。
穂波「お断りします。私にはテツヤ君がいるし、なにより貴方に男性としての魅力を感じないので」
赤髪の少年はへえ、と呟いて何か面白いものでも見つけたような顔をした。みんな固唾を飲んで見守っている。私何かおかしなこと言った?
赤司「僕に男性としての魅力を感じない、か…。やはりなかなか興味深いな君は」
顔は笑ってるけど目は笑ってない。むしろさっきよりも鋭くなっている。突き刺さるような視線が痛い。
赤司「すべてに勝ち続ける僕に何故魅力を感じない?」
穂波「だからこそです。負けたことがない人は負けたことがある人に比べて人生における経験値が低いんですよ。それにある人が教えてくれたいい男の見分け方にも反してますし」
予想外の答えだったのか、赤髪の少年は少し驚いているようだった。
赤司「そんなものがあるなら是非聞かせてもらおうか。それで、いい男の見分け方というのは?」
穂波「『負けてやれない男』はハズレなんだそうです。貴方はさっき今まで負けたことはないしこれからもないと言いました。つまり自分から『負けてやれない男』だと公表したことになります。自分のことをアタリだと言う人は信用できませんが、自分のことをハズレだと言ってはばからない人は相手にしたくありません」