第22章 開幕
黒子「赤司君、あまり女の子を怯えさせるのはどうかと思いますが」
テツヤ君が意を決して言ってくれたけど、赤髪の少年は気にも留めてないようだ。
赤司「テツヤ、僕は彼女には何もしていないが?」
いるだけで怖いんですけど。その前にまあ恐ろしいことしてたし。初対面があんなで怯えない女子はほとんどいないと思う。
と、ここで緑間君が動いた。私達の方へ一度だけ視線を向けると、赤髪の少年に話しかける。
緑間「ハサミを返すのだよ赤司。それはオレのラッキーアイテムなのだよ」
赤司「ああ、すまなかったな真太郎」
緑間君はハサミを受け取るとテツヤ君に目配せした。テツヤ君が頷く。そして私の手を掴むと赤髪の少年に向けて言った。
黒子「赤司君、すみませんが僕は彼女を客席まで送ってきます」
テツヤ君の手に力が入る。私にも緊張が伝わってきた。
赤司「その必要はない」
あっけなく却下すると、さも当然というような顔をして私の方を見る。冷たい目のまま私に向けて薄く笑うとこう言った。
赤司「僕が彼女と話をしたいからな」
謹んでご遠慮申し上げます。むしろここから退出させていただきたいんですけど、この拒否権無さげな空気感は何ですか?
赤司「小坂穂波さん、といったね?テツヤとはいつからつきあってるんだい?」
穂波「あの…一学期の半ばくらいからですけどそれがなにか?」
赤司「ということは半年くらい前か…。いや、単純にテツヤが選んだのがどんな女性か知りたいだけだ」
私ではなくテツヤ君に向けての言葉だろう。赤髪の少年は変わらず私を値踏みするように見つめている。