第22章 開幕
人ゴミをすり抜けて歩いていると、見慣れたジャージが目に入った。あれは…火神君?てことはバスケ部のみんなもいるってことだよね?ラッキー、と思って駆け寄ろうとして、同じジャージを着ている人が周りにいないことに気づく。なんで火神君1人だけ?まあいいやとりあえず声をかけてみよう…と思ったがなかなか追いつけない。歩くの早いよ火神君。そして人ゴミ邪魔しないで。
もう少しで追いつける、というところで火神君は何かを見つけて早足になった。追いかけようとしてどこかで見たカラフルな集団が目に入る。あれ…緑間君と、ストバスの時に会った…紫沢君?とイラッとくるイケメンだ。もう1人の色黒の人は確か桐皇の5番の人。まさかのキセキの世代全員集合⁈よく見たらテツヤ君と降旗君もいる。だから火神君急いでたんだ。
私も小走りで近寄ろうとすると、階段の上からもう1人現れた。テツヤ君より少し背が高いくらいの赤い髪の少年。何故か近づいてはいけないような気がしてその場に立ち尽くした。何かを話しているようだが、ここからでは聞こえない。一歩踏み出そうとしたその時、赤髪の少年が緑間君からハサミを受け取り火神君へと降り下ろした。
「「火神君‼︎」」
私とテツヤ君が同時に叫ぶ。私の声に気づいたテツヤ君が振り返る。その目は近づくなと言っているように見えたけれど、私は思わず走り出していた。